老化に関連してフレイル(虚弱)という言葉があります。フレイルは食欲や口腔機能の低下に始まり、筋肉が減少し歩行が難しくなります。やがて記憶や意識の問題へ発展するところから社会的孤立や要介護へと至る良くない老化の道筋です。インプラントは強いかみ合わせの力によく耐えることから、しだいに噛む筋肉とその力が回復し、フレイルに抵抗することができます。
 高齢者はしだいに健康への自信を失います。何がしかの病気を抱えて生きるので当然のことですが、それでも何かに自信を持っていないと活動性や生活スタイルを維持できません。そこでインプラントを生活に取り入れると、いろいろなものを食べられて楽しいし、栄養も改善します。噛むための四つの大きな筋肉は頭蓋骨に付く側頭筋、咬筋、内側翼突筋、外側翼突筋ですが、それ以外に首とバランスを図る筋肉や首そのものを固定し頭の姿勢を制御する筋肉とも協調して運動します。それらひとつひとつの運動が神経筋機能の向上に役立ちます。食べるということは最も原始的な運動です。原始的で悪ければ原初的といってもいいでしょう。発生初期に形成される口腔という器官は生命維持に欠くことができません。そして人生の後半にあっては、食べることそのものが生きる目的になっていくのです。食べるという当たり前の営みは、高齢者の健康を育むだけではなく、食卓を共にすることで自我を社会に解放します。社会性の動物である人に深い満足と自信をもたらすことでしょう。繰り返しますが、長寿インプラントはこうしてフレイルや老化に抵抗し長寿に貢献するのです。